東京は渋谷にあります。個人レッスン専門のギター教室。T’sGuitarSchoolです。
●今回はピックについてです。特に初心者の方からの質問が多いです。ピックは本当にたくさんの種類があります。しかし実際は弦楽器にピックはありませんでした。バイオリンなどは弓ですね。そしてクラシックギターなら指になります。アコースティックギターでも本当の最初は指でした。このようにピックが登場したのは実はそれほど昔ではありません。ですので今でも色々なものがありこれといったものの説明がない気がします。しかし本当はそうではありません。その種類も形も検討したいと思います。ギターのピック(ピックとも呼ばれる)には様々な種類と材質があり、それぞれ音色や弾き心地に大きな影響を与えます。以下に代表的な材質とその特徴をまとめました:
・ピックの主な「材質」とその特徴
1. セルロイド(Celluloid)
特徴:クラシックな質感、ツルツルした表面であり一般的です。
音色:明るく、ややアタック強めに感じます。しかしアタックは本人の力もあります。
注意点:燃えやすく、劣化しやすいようですが、燃えるというよりはむしろ熱に弱く、暑い時期に変形してしまいやすいです。
使用例:フェンダー系のピックに多いように思われます。ただしフェンダー社はあくまでギターメーカーなのでどこか別の会社のOEMだと思われます。
2. ナイロン(Nylon)
特徴:柔らかめでグリップ力がある(滑り止め加工付きのものも)
音色:柔らかく、温かみのあるトーンと言われます。しかしこれはサウンドに張りがない気もします。
おすすめ:ストローク多めのアコギプレイヤー
3. ウルテム(Ultem)/トーテックス(Tortex)
特徴:硬く耐久性が高い、滑りにくい
音色:シャープでアタック感が強い
使用例:ダンロップのトーテックスピックが有名
4. デルリン(Delrin)
特徴:スムーズな表面、耐久性が高い
音色:明るくクリア
おすすめ:ピッキングニュアンスが豊か
5. アクリル(Acrylic)
特徴:透明でおしゃれ、やや厚めで硬い
音色:クリアで攻撃的なサウンド
使用例:個人製作のカスタムピックにも多い
6. 木製(Wood)
特徴:ナチュラルな質感、独特の温かさ
音色:柔らかくオーガニック
注意点:削れやすく耐久性は低め
7. 金属(Metal)
特徴:非常に硬く耐久性あり、珍しい素材
音色:非常に硬くメタリック、個性的なサウンド
おすすめ:エフェクト的に使うプレイヤー向き
●このように材質は色々あるのですが実際、ピックを楽器店で購入する場合、材質までは確認できない場合が多いです。ウエブサイトなどで調べるしかありません。ピックは消耗品ですが高価なものではないので100円くらいのものなら何点か購入して弾き比べをするほうがいいと思います。アクリル、プラスチック製以外は高価なもの、1000円を超えるものもありますのでさすがに弾き比べは大変かもしれません。そしてもう一つ初心者に難しいのは形です。ギターのピックには「形状」にもいくつかの種類があり、それぞれ演奏スタイルやジャンルに合わせて選ばれます。以下に代表的な形状とその特徴をまとめました
・ピックの主な形状と特徴
1. ティアドロップ型(涙型)
見た目:涙のしずくのような形
特徴:最もスタンダードな形で、指に馴染みやすく、細かいピッキングにも対応
適性ジャンル:ロック、ポップス、ジャズなど幅広く対応
2. トライアングル型(三角形)
見た目:左右対称の大きめ三角形
特徴:3つの角が使えるので長持ち。ストロークがしやすい
適性ジャンル:アコギストローク、ベースなど
3. ジャズ型(Jazz IIIなど)
見た目:ティアドロップ型より小さめで先が鋭角
特徴:高速ピッキングや細かなコントロールに最適
🎵適性ジャンル:メタル、フュージョン、テクニカル系ギタリスト向き
4. オニギリ型(おにぎり型)
見た目:和風の三角形のような丸みのある形
特徴:大きめで握りやすく、安定感がある。3つの角を使い回せる
適性ジャンル:初心者、アコギ、エレキ問わず広く使える
5. サムピック(Thumb Pick)
見た目:親指に巻きつけるような形状
特徴:フィンガーピッキング向け、親指でのベースライン演奏に便利
適性ジャンル:カントリー、ブルース、クラシック風の演奏
6. フィンガーピック(Finger Pick)
見た目:指にはめる金属やプラスチックのピック
特徴:指先で弦を弾くが、音量やアタックを強調できる
適性ジャンル:ブルーグラス、フォーク、ハワイアンスラックキーギター
7. 特注・変形タイプ
見た目:星型、カーブ付き、2層構造など
特徴:特殊な音色や演奏感を求める人向け
適性ジャンル:エクスペリメンタル、プログレ系など個性重視のジャンル
●実際のところ、ピックは慣れもあります。私はジャズギタリストなので小さいピックを使っています。しかしアコースティックギターのレッスンになっても同じピックを使います。そのたびにピックを変えていてはきりがありません。レッスンなら持ち変えることもできますが実際のライブになるとそこまで気を遣えません。もちろんアコースティックギターのストロークはおにぎり型のようなものは当たる面積が広いためいい音がします。これは小さいピックにはかなわないのですが全く悪い音になるわけではないのでこれでもいいのではと思います。最終的には自分がいつでもどんな時でも楽に使えるピックが結局はいいピックになります。それ以外に問題があるなら。
・ピックが落ちる
これは長年講師をしてきましたが理由は一つです。ピックの角度が悪いのが原因です。ダウンピッキングの際は人差し指がピックを支えます。そしてアップピッキングなら親指が支えているはずです。弦に対してしっかりピックが平行にあたっているのならピックは実際には落とすことはありません。ピックを落とす原因はこのピッキングのダウンアップのムラが原因です。ダウンはいいのですがアップの時にピックの面ではなくサイドを弦に当ててしまうのです。そうなると支える指がないためどうしてもピックは持っていかれてしまいます。
・ピックが滑る
滑るとなるとこれは原因は汗なのかもしれません。実は私は手にほとんど汗をかきません。ですのでこの経験がありません。もちろん弦が錆びることもありません。ただし本当にピックが滑っているのでしょうか。上記のように弦に持っていかれているのではないでしょうか。だとすれば実際はピックの持ち方、ダウンアップの弾き方に問題があるように思えます。
●ギターのピックの持ち方にはいくつかの基本的な方法がありますが、最も一般的で推奨される持ち方は以下の通りです。
基本的な持ち方
親指と人差し指で挟む:
ピックの先端から約1~1.5cm程度の位置を、親指の腹と人差し指の側面で軽く挟みます。
人差し指は軽く曲げ、親指は自然に添えるようにします。
ピックがぐらつかない程度の力で、しかし力を入れすぎないように注意しましょう。
他の指は軽く握る:中指、薬指、小指は軽く握り、手のひらから少し浮かせた状態にします。
これらの指がピッキングの邪魔にならないように、リラックスさせることが重要です。
ピックの角度:弦に対してピックは平行に当たるようにします。
この角度をつけることで、弦との摩擦が減り、スムーズなピッキングにつながります。
手首の動き:ピッキングは主に手首のスナップを利かせて行います。
肘や腕全体を大きく動かすのではなく、手首を中心とした小さな動きを意識しましょう。
これにより、正確でスムーズなピッキングが可能になります。
その他のポイント
ピックの露出: ピックが弦に当たる部分は、ほんの少しだけ出すのが基本です。出しすぎるとコントロールが難しくなり、引っかかりやすくなります。
力の入れ具合: ピックを強く握りすぎると、腕や手に余計な力が入り、スムーズなピッキングを妨げます。軽く、しかし確実にホールドすることが大切です。
様々な持ち方を試す: 上記はあくまで基本的な持ち方であり、プレイスタイルやピックの種類によって持ちやすいと感じる形は異なります。色々な持ち方を試してみて、自分にとって最も自然で演奏しやすい持ち方を見つけることが重要です。
練習のヒントは最初はゆっくりとしたテンポで、ダウンピッキングとアップピッキングを交互に行う練習をしましょう。
メトロノームに合わせて、リズム感を養いながら練習するのも効果的です。
様々な厚さや素材のピックを試して、音の違いや弾き心地の違いを体験してみるのも良いでしょう。
焦らず、根気強く練習することで、自分に合ったピックの持ち方とピッキングの技術を習得できるはずです。
●このように基本の持ち方はあります。また練習もあるのですが実際の演奏はどうしても左手が難しく感じているはずです。私自身、よほどの理由がない限りはピックの角度を変えようとすることはありません。どうしてもピックの角度で音を変えたいと思ったときだけです。練習方法はあるのですが実践に生かしきれないのも事実ですね。大切なのは右手の感覚よりも「音」です。切ったような嫌な音が鳴ればピックの角度が間違っています。しっかりとした力強い音がしていれば正解です。このように音に気を使うことによっていいピッキングになるのではないでしょうか。そして最終的には他の人にチェックをしてもらうことが一番です。良いピックとピッキングの技術。この両方が必要になります。ピック、ピッキングで悩んだらやはりギター教室に通いましょう。クラシックギターのようにピックを使わない奏法は別なのでギター教室はやはりエレキギター、アコースティックギターの先生がいる教室を探してほしいと思います。
参考にしてみて下さい。よろしくお願いします。