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アコースティックギターの弦は特徴的?

東京は渋谷にあります。個人レッスン専門のギター教室。T’sGuitarSchoolです。

 

今回はアコースティックギターの弦について書きたいと思います。改めて弦の話なのですが

経験者の方は当たり前のように思うかもしれませんが意外と知られていない、気にしない部分

だと思います。

 

3弦が巻弦であること

これはアコースティックギターの弦では当たり前ですね。しかしなぜ巻弦を使うのでしょう。

 

・ネックの強度

本来アコースティックギターの原型はクラシックギターです。そしてクラッシックギターは

3弦はプレーン弦(巻弦ではない)なのです。そして何よりガット弦、ビニール素材です。

そのクラッシックギターを鉄弦にした際、ネックの強度が持つかどうかが問題になった

のだと思います。今では大分と立証され、今の技術では反ることはあっても修正ができる範囲で

あること。そして今の製法ならやはり鉄弦でもネックは大丈夫になりました。

巻弦の仕組みは芯の部分になるのがプレーン弦です。各メーカーはここに味付けをしているようです。

中には芯の弦だけ六角形にしているものもあります。強度のためかもしれませんね。

芯の部分に丸い弦をぐるぐると巻き付けているのが巻弦になりますので実際に芯線はかなり細いもの

になります。そうなるとアコースティックギターの3弦は実際には芯線が一番細く、強度も低い

ものになります。ここでネックの負担を軽減したかったのではないでしょうか。

 

・各弦の度数

アコースティックギターの弦は6弦からミ、ラ、レ、ソ、シ、ミと並びます。少し

難しい話になるのですが6弦から3弦までの音程は完全4度になっています。実は

クラッシックで使われる弦楽器、バイオリン、コントラバス、チェロなどは基本的に

4弦なのですがギターと同じく完全4度なのです。コントラバスに至っては

全くギターと同じ音程です。高さが違うだけです。私が思いには、クラシックギターは

1,2弦を足した多弦楽器だったのかもしれません。しかしそれでもすべて完全4度に

することは可能だったはずです。ではどうして3弦から2弦は長3度なのか。

これは本当に推測ではあるのですがクラッシックギターはメロディ、伴奏、ベースを

一度で弾く「小さなオーケストラ」です。このメロディと伴奏を同時に弾ける弦楽器は

ありません。各自役割があります。そしてオーケストラが成り立っています。

ギターのある意味での弱点は開放弦と押し弦では音量が変わってしまうことです。

ネックのスケールが長くなればなるほどその音量差は顕著に出てしまいます。それが理由で

音程を変えるのではなくカポをつけて作曲をする人もいます。

そこでもし3弦から完全4度にしてしまえばド。ドはメロディに登場しやすい音なのですが

このドを開放弦にしてしまうと頻出するドだけが大きな音量になる。この点を回避するため

完全4度の間隔を長3度にしたのではないでしょうか。完全4度よりも高くするとネックの

強度、それから同一弦での押し弦が増えるのでやはり半音低い長3度がよかったのかもしれません。

そこで2弦からがプレーン弦になったのではないかと考えることもできますね。

そしてそのまま、アコースティックギターの弦の音程に引き継がれたと考えられます。

 

このようにアコースティックギターの弦は3弦までが巻弦なのは定番なので疑問を持たない

人も多いかもしれません。私はエレキギターからギターをスタートしたのでアコースティックギター

を最初に弾いたときはびっくりしました。しかしそれでも未だに3弦が巻弦なので

これは文化かもしれません。サウンドがどうなるのかではないのかもしれませんが現在、

アコースティックギターの弦で3弦からプレーンを使用する人は聞いたことがありませんね。

 

アコースティックギターの歴史はそれほど古いものではありません。しかしそれでも

中々最初のトレンドから抜けれないのはなぜなのかと思います。クラッシックで使われる

弦がすべて巻弦でそこにメロディのために細いプレーン弦をはり6本にしたまでは

わかるのですがそれはクラッシックギターでの話。弾き語りといった伴奏によく利用される

アコースティックギターならもう3弦までプレーンでも問題ないのではと思います。

実際、プレーン弦の方が伴奏には向くと個人的には思います。しかし私自身も

3弦をプレーン弦にしてアコースティックギターを使用したことはありません。何より

面倒です。まずそんなセットが売っていません。売っているのかもしれませんが少なくとも

楽器屋さんで簡単に入るのかどうか。もちろん太目のエレキギター弦で試すこともできます。

しかしこれも立証しずらい点があります。それは弦の質です。

 

アコースティックギターの弦には大きく2種類あります。ブロンズ弦とフォスファーブロンズの

弦。

 

・80/20と表記されたりもするブロンズ弦。こちらはギターの出荷の際によく張られています。

特に安いモデルのアコースティックギターの弦に多いようです。実際お値段も少し休めです。

ブロンズと言われる青銅とスズの合金ですサウンドはキラキラしていてストロークに

向くようにも思われます。しかし強度は後に紹介するフォスファーブロンズよりも劣る気が

します。実際に使用していても弦の交換の時期は早いです。切れるというより弦振動が

大きくなる、すなわちへたってしまう気がします。

 

・フォスファーブロンズ

こちらは上記のブロンズにリン酸を混ぜたものらしいです。茶色がとても強く、ブロンズ弦

はゴールドに対して、褐色とも言えますね。サウンドは落ち着いていてそれでいて

リン酸のおかげなのか「しゃらしゃら」といった感じを私は持ちます。ブロンズで少し

やかましい気がする人はフォスファーブロンズをお勧めします。そして何より強度がブロンズより

高いようにも思えます。

 

上記の2種類、正直なところそれほど私は甲乙がありません。しっかりしたメーカーなら

もうサウンドは好みになるでしょう。フィンガースタイルだからと言ってしっかり明確な

サウンドが欲しいならブロンズ弦でも構いませんし、ストロークとはいえ歌を邪魔しない

落ち着いたサウンドならフォスファーブロンズもありだとは思います。ただしここで

求められるのは強度です。私のようにギターの講師をしていて使用頻度が高いならブロンズ弦と

フォスファーブロンズ弦の値段の差は何倍もある訳ではないのでやはりフォスファーブロンズを

しようしたいです。そして最後にエリクサー。

 

・コーティング弦

このエリクサーに代表されるコーティング弦。人によってはとても良いものです。私はたくさんの

生徒さんを見てきましたが本当に人はそれぞれ。そして手に汗をかく、かきやすい、かきにくい

も本当に人それぞれのものです。「私、手汗がすごいです」という生徒さんがいますが300人

以上の人の手を見てきた私からすればそれほどでもないです。本当に汗をかく人はレッスン後に

ネックが水をかけたようになります。ここまでの方だと実際に弦はほんの一日でサインペンで

色を付けたの如く、真っ黒になります。コーティング弦はこういった人にとって良い弦ですね。

毎日弦を交換するわけにはいきません。そして何より弦を劣化させる原因は汗なのですが

巻弦の方が厳しいです。巻いてあるので汗の侵入を防げません。練習中に弦を吹きながら

ギターを弾いても構いませんが巻弦にしみ込んだ汗までは拭けないでしょう。このコーティング弦

にもブロンズ、フォスファーブロンズがありますがこれも好みです。コーティング弦は

汗の侵入をコーティングしています。それがどれだけ薄いものであれコーティングは弦振動を

妨げるのでサウンドの好みよりももう利便性で考え、ある程度は我慢した方がいいかもしれませんね。

最近ではアコースティックギターの出荷の際にすでにコーティング弦を張っているものをよく

見かけます。生徒さんはコーティング弦を知らずに買うわけですので気づいていない場合が

殆どです。中にはこの弦を張っていますといった意味でコーティング弦のメーカーのタグが

ペグに巻いてあることもありますが、そもそも初めてアコースティックギターを購入する人に

とって何のことかわからないでしょう。実際、お店のアコースティックギターはたくさんの

人が試奏をします。そうでなくとも実際、ギターの弦はすぐに錆びた状態になります。弦振動はそれほど

悪くなっていないのですがお店の環境においては錆びやすい、錆びにくいはあるようです。そうなると

アコースティックギターをお店に並べる際、どうしても弦が錆びていたり黒かったりすると見栄えは

よくありません。最近ではその意味で最初から高めのギターにはコーティング弦を張るようですね。

 

ここまでアコースティックギターの弦を紹介してきました。実際はジャズで使用されるフルアコもまた

3弦までが巻弦です。ただし、ワウンド弦といって芯線に丸い形状の鉄を巻くのではなくプレート

タイプのものを巻き付けるフラットワウンド弦です。これは大きくサウンドが変わります。指を

滑らせた時の弦の音がアンプからは鳴りません。生音は少し聞こえるのですがアコースティックギター

ほどのものではありません。この巻弦のきゅっといったサウンドは特徴的です。なぜかというと

クラッシックで主に使用される弦楽器は殆どがフラットワウンドだからです。その意味でも

巻弦を張ったアコースティックギターは当時としては画期的だったのではないのでしょうか。

クラッシックの奏法では嫌われてしまう弦をこする音。これが気にならない私達のポピュラー音楽

がまた上手くマッチしたのかもしれませんね。

 

アコースティックギターは私としては特徴的なものだと思います。もちろん現状の

3弦までが巻弦は定番なので私もそれを使います。色々と試す価値もありそうなのですが

やはり唯一無二の音になりそうで受け入れられないかもしれませんね。

 

参考にしてみて下さい。よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

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