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エレキギター、値段の差はどこにある?

東京は渋谷にあります。個人レッスン専門のギター教室。T’sGuitarSchoolです。

 

前回まではよくアコースティックギターの事を書いてきました。実はアコースティックギターのほうが

シンプルです。エレキギターは本当にお伝えしたいことが多いですね。

今回は最初のエレキギターを購入する、特に初心者の方には読んでほしいと思います。

 

エレキギターには本当にたくさんの種類があります。その値段の差がどこからくるかで

選択もしやすくなるのではないでしょうか。

 

・ボディ

まずこのボディでの値段の差はトップが一枚か二枚かが一番大きいです。

もちろん一枚のボディの方が安くなります。二枚といってもまた色々あります。

フラットな状態のトップと丸みのかかったアーチのもの。実は役割は

化粧板です。それほど大きくサウンドには影響はありません。ですから実は二枚の

ボディのエレキギターはかっこいいものが多いですね。見事な木目が特徴になります。

それゆえに、どうしても化粧板の観点から「かっこいい木目」となるので

どうしても高価になります。せっかくの化粧板がきれいな木目でないならあまり意味

がありません。ここで注意したいのがペイントです。きれいな木目だと思っても

数万円ではそれほどいいものがある訳がありません。その場合は木目ではなく

ペイントです。もちろんそれでもかっこいいと感じたならそれで問題はありませんが二枚の

ボディではないと認識したほうがいいです。そしてアーチの二枚とフラットの二枚です。

そもそもエレキギターのトップにアーチが必要かどうかといわれると実は必要がありません。

ジャズで使用されるアーチトップと言われるものはこのアーチがとても重要になります。

アーチトップはそのトップの板の厚さは数ミリです。そこに弦のテンションが掛かると

アーチは陥没してしまうのですがここでアーチがあると丸みにより弦のテンションが分散

され、陥没に耐えうることができます。トンネルがすべて丸いのはそのためです。フラット

でトンネルをつくると面に力が集中するから陥没してしまうのです。

しかしエレキギターのように数センチの分厚いトップがブリッジや重たいピックアップで

陥没することはあり得ません。また弦の振動をため込むサスティーン楽器なため、アーチで

音が反射することもあまり考えられません。ほんの少し影響があるかないかでしょう。

そうなるとネックの角度、ブリッジの角度を保つだけにアーチがあるのかもしれませんね。

その意味でいうと二枚でもアーチのものが一番高いです。そして次にフラットの二枚、

そして一枚のみが一番コストパフォーマンスが良いと言えます。まずボディの値段の差はここに

あります。

 

・ネック

ネックはワンピース、と2ピースがあります。しかし多くは2ピースです。ただあまり値段が

変わりません。ボディは一枚か二枚かで製作が変わるため値段に差がでるのですが

ネックは関係ない値段設定がされています。2ピースはエボニー、もしくはローズをトップに

張り、太いバックのネックがあります。ワンピースはそのまま、太い一本の木です。

2ピースのネックの場合は二枚の木を張り合わせるため手間がかかります。ここにコストが発生します。

しかしネックの反りを強制するトラスロッドを入れるためにネックの修正が楽です。最初に削っておいて

そこにトップで蓋をすればすみます。しかしワンピースはネックの裏にトラスロッドのスペースを

加工しなければならないため、ここに手間がかかります。そしてワンピースは一般的には

指盤にも塗装が必要です。しかし一般的には2ピースはトップには塗装がありません。少なくとも多くの

弦楽器はネックの表には塗装をしないのが通常です。そしてワンピースネックもまたエレキギターより

開発されました。その際、ワンピースは塗装あり、2ピースは塗装無しが一般的な考え方となったようです。

まとめると

ワンピース

トップがないためコスト削減。

塗装とトラスロッドに手間が必要なためコストがかかる

 

2ピース

塗装が表にはないためコスト削減

二枚の木材が必要なためコストがかかる

 

このような理由から一長一短なのです。結局メーカーとしては2種類のネックを用意しているのですが

値段に差をつけていないのが実情です。また安いエレキギターは張りメイプルといってメイプルのバックの

上にメイプルを張ります。そうするとどちらのネックのタイプも作ることができるので製作工程が

同じになり作業を楽にします。ネックに関しては値段の差はないのが結論です。

 

・塗装

こちらは大きく値段の差が出ます。弦楽器はラッカー塗装が高級であり、大量生産は

ウレタン塗装となっています。ラッカー塗装は木の振動を邪魔しにくのですがラッカーが

高価です。そして光沢を出すためにどうしてもその高価なラッカーは多く使用される、厚く塗られる

ためそこでまた値段が高くなります。しかし高い塗装ではありますが外界の湿度にはウレタンほど

丈夫ではありません。やはり有利なのは木の振動を邪魔しないこと。そして木が呼吸をしやすいことです。

それに比べてウレタン塗装はがっつりとコーティングをします。色褪せもラッカーに比べれば少ないです。

経年変化に強いともいえるでしょう。そしてコーティングの力が強いので外界の湿度からしっかりと

守ってくれます。実は理想的なんです。しかし何と言っても木の振動の妨げになりやすいのが

最大の弱点です。そして製作も楽なのか、大量生産のエレキギターに多いイメージになります。

しかし高級ギターであるPRS、ポールリードスミス社のレギュラーはウレタン塗装です。

こちらはレギュラーといえども50万円近い値段です。しかし特筆すべきはかなり塗装は薄いのです。

結局、ラッカーであれ、ウレタン塗装であれどうやって制作をするかです。ウレタン塗装は

大量生産だからダメだということでもありません。ギターのボディの振動をしっかりと出せるなら

ウレタンでも構いません。ただ今回は値段の差の説明なので一応はラッカーの方が高くなると

結論づけたいですね。

 

・ピックアップ

こちらも値段に差が出るパーツです。まずシングルコイルとハムバッキングがありますがハムの

方がシングルよりも高いです。シングルコイルを二つにしたのがハムバッキングなのですが

実はコイルの回転数は同じです。ですのでコイルの問題ではありません。しかしどうしてか

ハムバッキングの方がシングルを二つ連結させるため高い値段になりますね。そして数千円とは

いえ、カバーをするかしないかも値段を分けます。カバーがある方が高いです。このカバーも

ハウリング防止をしっかりしないといけないためただのカバーとは言えまた製作コストがここに

掛かります。またシングルコイルはポールピースそのもの自体が磁石ですがハムバッキングは

磁石の板です。理由は実は分かりません。最初に弧のように作った、それだけかもしれませんね。

そうなると連結をして磁石の板を下にひいて、カバーをする。手間がかかっているのがよくわかります。

それに比べるとシングルコイルの方はとてもシンプルです。

ここでエレキギターにマウントされている一般的なレイアウトは

シングルをリア、センター、フロントと3つ。

リアとセンターにハムバッキングを2つ。

リアにハムバッキング、センター、フロントにシングル2つ。

 

大きくはこのレイアウトです。シングル3つとなるとコントロールと呼ばれる

ボリューム、トーンが合わせて3つです。それに対してリアを2個の場合は

一般的にボリュームが2つ、トーンが二つ。リアにハムバッキング、センター、フロントにシングル2つ

に関しては色々配線パターンがありますのでこれということは言えません。

結局ハムバッキング2つのほうが最終的にはコントロールの部分もややこしく配線されるので

ハムバッキングのエレキギターが高くなる理由なのかと思います。

 

・その他

ゴールドパーツかシルバーパーツかでは値段が数千円レベルで違います。一般的に

ゴールドパーツを使用すれば全てゴールドにします。ねじ一本でもゴールドです。

ここで数千円でもゴールドの方が高いのは理解ができます。同じシルバーといっても

クロームとニッケルがありますが実際のところ、この二種類で値段が変わったエレキギターは

見たことがありません。ピックガードが有るか無いか。ピックガードが有ればエレキギターの

配線は楽です。ピックガードがなければボディに大きくそのスペースを最初に作らなければ

なりません。この点は同じボディをピックガードあり、無しで考えると絶対に二種類の

ボディを用意しなければなりませんのでおそらくはピックガード無しのほうが高いと

思われます。しかし一般的にはピックガードありはストラトキャスターです。いわゆる

一枚のボディと思ってもらっても良いです。アーチも無し。しかしピックガードで配線を

しないレスポールタイプはコントロールのスペースを作るので結局はボディの部分の

値段の差を参考にして下さい。アーチあり、二枚のボディ。こちらが高くなると言えるでしょう。

 

最後に比較は同じメーカーでする方が分かりやすいです。二枚のボディのギブソンと一枚の

ボディのフェンダーを比べても両社、工場も違うのでどうしても比較がしにくいです。

しかし同じ工場でならクオリティが同じなためそこは分かりやすいのです。同じ技術なのですから。

 

最初にエレキギターを購入するのは本当に迷いますね。そしてかっこいいものを追求すれば

結局ウレタンからラッカーがいいといった風に高いギターへ目移りしてしまうでしょう。

最初からいいギターを持つことはお勧めします。しかし限られた予算があるからどうしても

クオリティを保ちつつもそれでも良い物がいいですね。そして大量生産であってもギターは

一本一本違うものです。迷ったらお店の人と相談するのが一番です。またそれも楽しみ

ですね。

 

参考にしてみて下さい。よろしくお願いします。

 

 

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