東京は渋谷にあります。個人レッスン専門のギター教室。T’sGuitarSchoolです。
●今回は楽譜選びについて。アコースティックギターでもエレキギターでも同じことではあるのですが楽譜選びはなかなか難しいものです。私がギターを始めた頃は楽譜はそもそも、楽器店で販売されているものでした。ごくまれに本屋さんでも販売されてもいました。しかし今は殆どネットでの購入です。古い話ではあるのですが当時、エレキギターはバンドスコアを購入しました。そしてこのバンドスコアにはルールがあり完コピとなります。そして全パートが書かれているものでした。ですので不便ではありますがアコースティックギターでも同じものを使えました。そしてバンドならアルバムごとにバンドスコアが発売されました。気に入った曲、弾きたい曲がそのバンドスコアに1曲しかなくても購入するしかない状況でもありました。シングルになっていない曲が弾きたい時もこのバンドスコアを購入せざるを得ないものでまた、3000円くらいだったと思います。中高生には少し高い買い物ですね。当時も1曲だけの楽譜も売られていたのですが次々とバンドスコアも発売され、品揃えの多いお店に行かないとそれでもなかなか手に入りませんでした。アコースティックギターはコードだけならあったのですがそれでもフルコーラスではなかったりイントロなどは書いていなかったりと以外に練習に不便だった時代です。しかし今はオンラインですぐに購入できるし、クレジット支払いならその場でプリンターから楽譜が手に入り、レッスンも随分と楽になりました。しかし残念なことにネットになければお手上げです。アルバムの中のシングルになっていない曲はバンドスコアを購入するしかありません。また以前はアコースティックギターのコードのみ、エレキギターはバンドスコアとほぼこの二択だったのですが今は色々あります。それが故に自分にあった曲、楽譜の形式も複雑になり初心者の方には選ぶことが困難にもなっています。またネットでは著作権もありそれがなかなか確認できません。アコースティックギターの例ですが購入してみたら半音下げで書かれていたりします。半音下げるチューニングも初心者にとってはハードルが高く、これまた困難なものですね。そこで初心者の方はどのような楽譜を購入すべきか書きたいと思います。
・アコースティックギターの場合 歌詞のみ
こちらは一番安いのですが全くお勧めしません。なぜなら楽譜と呼べるものではないからです。楽譜というのは五線紙がありそこに色々な音楽の記号が書かれています。ト音記号などもそうですね。確かにアコースティックギターの奏法なら細かいことは気にせず、どこでどのコードを弾けばよいかだけで済む場合が多いです。しかしこの楽譜は何小節目にコードチェンジなどはわからないのです。歌詞をみてコードチェンジをするしかありません。稀に生徒がこのような楽譜を持ってくるのですが私がその曲を知らない、または歌詞までは把握していなければ弾くことはできません。結局は私が五線紙に書き直すしかなく、それでもメロディまでは五線紙には書けません。コードとメロディの関係は耳でコピーするしかなく大変な作業です。実際にはそれほどたいしたことではないかもしれませんがそれでも限られたレッスンの時間の中では少し時間がもったいない気がします。いつか勉強になるので「楽譜」と言われれば、五線紙のあるものを購入してください。いつか役に立つと思います。
・アコースティックギターの場合 コード
こちらが一般的でお勧めです。しかし中には曲のコーラスと呼ばれる、歌の部分しか載せていないものがあります。もちろんこれだけでいいという人もいるのですが実際の曲に合わせて弾こうとしたとき、コードが分かりません。自分が歌う部分だけでいい人もいるかもしれませんが曲にはイントロとエンディング、インタールードと呼ばれる間奏もあります。ですので完璧な譜面ではありません。楽譜が見やすいように1ページにまとめたいという人もいます。しかし2ページ、3ページくらいまでなら譜面台を用意するなり工夫をすればなんとか譜面は読めます。そして基本的に楽譜は見ながら弾くものではありません。覚えることが前提です。ですので多少楽譜の枚数が多くても覚えてしまえば苦労は最初だけです。この点もとても重要です。私はエレキギターからギターを始めました。そしてバンドを組んだのですが、エレキは楽譜を見ながら弾くことができません。正直、覚えるものだという考え方でギターの練習に取り組んだのだと思います。最初から覚えることが身に着いたのですね。やはりアコースティックギターでも覚えることが前提で、そして楽譜の枚数が増えてもやはり曲全てが載っているものをお勧めします。またこの種類の楽譜は必ずメロディーもあります。初心者の方には必要ないものに思えるかもしれません。しかし後々音楽理論や作曲などになるとメロディーとコードの関係性はとても重要なものになります。最初は必要ないものに思えるかもしれませんがいつか役に立つと思います。
・アコースティックギターの場合 フィンガースタイル
こちらのタイプの楽譜が売り出されたのは最近です。確かにかなり前から合ったタイプではありましたが20年近く前からフィンガースタイルという奏法が流行りだし、需要が増えたためたくさん販売されるようになりました。当時はフィンガースタイルだけをのせたスコアブックで販売されておりました。最近では少しヒットした曲、またはミスチルなどのヒットソングはこのスタイルの楽譜でもネットで手に入ります。以前はこの曲をフィンガースタイルで弾きたいとなってもそういったアレンジの曲が発売されていない。そう言ったケースも多かったです。もちろん今でもフィンガースタイルにしていない曲もありますが本を買っていた時代からすれば本当に増えたように思えます。しかしこのフィンガースタイルは非常に難しい奏法になります。実際には上級者向けです。まずその複雑さから覚えることが非常に難しいため楽譜を見ながら演奏をします。もちろん覚えてくれてもよいのですがアコースティックギターのコードだけを弾いてきた人にとってはとても大変な作業です。エレキの人でもその情報量は驚愕でしょう。そうなりますと、まず楽譜を読む能力が必要です。それもタブ譜を読んだりすることになります。このタブ譜は6本の線で弦を表しており、音程を読むことがありません。しかしそれでもリズムは同じなのである程度の楽譜を読む知識は必要です。また六線はとても見ずらいものです。偶数なので特に3弦の線と4弦の線を読むのはとても慣れが必要です。アコースティックギターのコードのみを弾いて練習していた人はこのタブ譜に慣れていません。エレキギターとの違いはこの点です。逆にエレキギター人はダイアグラムが苦手だったりします。楽譜を見ながら弾くので左手を見なくてもコードが押さえれるレベルでコードの能力が必要です。コードがまだ上手く鳴らせない、Fでは音が詰まってしまう人にはできない奏法です。そして何よりこのフィンガースタイルは楽譜を書いた人のアレンジでその傾向が決まります。簡単に弾けそうなもの、よりリアルにベースやキーボードパートまで弾けるようになっているもの。元の曲のサイズまできっちりと再現したもの、元曲に合わせて弾けるようにキーまでこだわって書かれたもの。楽譜の趣旨がとても幅広く、購入してもあまりに難易度が高かったり、六枚くらいのページ数で演奏がとても大変だったり、簡単に書かれすぎていて逆に曲とのイメージに差を感じる。そのようなこともあります。以前はこのフィンガースタイルは楽器店などで楽譜をみて好きな曲が入っている楽譜かどうか、難易度はどれくらいか。その辺りは確認できたのですが今ネットでの販売が主流なためどうしても確認が難しいです。確かに安く買えるのですが全く手が出せず無駄になるケースもありますね。初心者の人には見わけが難しいのですがこのタイプの楽譜を間違えて購入しないよう注意してほしいです。
・エレキギターの場合 バンドスコア
こちらは定番です。楽譜の中で一番高いものになりますが一番役に立つものでもあります。最近ではヒットソングだけを集めたものもありますので探していれば出てくるかもしれません。特定のアーチストよりも今のはやっている曲だけを弾きたい人にもお勧めします。バンドスコアは分厚い本です。それが故に楽譜が見ずらいなどの理由で敬遠されがちですが実際には上記にあるように全て完コピです。もちろん耳で誰かが聞いたものを楽譜にしているので間違いも実はあります。しかしそれでも全パートがあるだけにバンドを組んでいる人には大切です。そしてギターが弾いている間は他のパートは何をしている、ベースは一体どんな楽器なのだろう。ドラムは音程がないにも関わらず色々と音程が書いてあるように見える。などなど、バンドサウンドを研究するにはとてもよいものです。初心者の方がキーボードパート、ベースパートなどを研究することは大変かもしれませんがそれでもバンドを組んだ時などはとても役に立つのでお勧めします。
・エレキギターの場合 ギターのみ
このような楽譜が売られるようになったのは最近です。バンドスコアは全てのパートが書かれてるのですがエレキギターだけ。そして何本かのエレキギターがある場合でもやはりパートはエレキのみ。このような楽譜です。ギターだけが書かれているため楽譜の枚数が少なくなります。そしてネットでは基本的に楽譜の枚数で値段も決まる傾向にありますので実際には安い場合が多いです。しかし情報がメロディー、コード、エレキパートだけなのでバンドを組みたい人にはあまり向きません。メンバーには別に楽譜を購入してもらうことになってしまいます。確かにバンド演奏をするにあたり、ドラムが違うフレーズを叩いたとしてもギターは同じことを続けるケースもあります。しかしそれでもバンドスコアは書き直しになるため、どうしても楽譜の枚数は増えてしまいます。とにかく安く楽譜を手に入れたい、またわからないギターのパートだけを知りたいかたにはお勧めです。
このように色々なタイプの楽譜が現在ネットで販売されています。参考にしてみて下さい。
よろしくお願いします。