東京は渋谷にあります。個人レッスン専門のギター教室。T’sGuitarSchoolです。
●今回はメトロノームの使用について。T’sGuitarSchoolでは必ずメトロノームを使用しています。このメトロノームの使用ですが実際には面倒に思えますね。これは誰でも仕方がないことです。しかし有名なドラムの方でも「今自分は少し速くなってしまったのではないか」と疑いながらライブに望んでいると聞きました。こんなドラマーが絶対にリズムがゆっくりになったり速くなったりはしない、そう思うのですが実際はそれほど気を使っているらしいのです。実際私もそう思います。実はリズムのずれている人に「今、速くなりましよ」といっても「いや、そんなことない」と返されてしまうことがほとんどです。リズムのずれは自覚がありません。ですので本人の中ではリズム通り演奏できているのです。しかしお客さんは感じています。それは自然にです。今少し速くなった?のような感覚ではありません。学生さんの演奏、学園祭などで「やっぱり素人ぽいね」これは実はリズムと音程から感じるものです。それはじわじわとお客さんにその印象を与えてしまい、結果、全体的に上手くない演奏に聴こえるのです。ですので私たちもリハーサル等で音程とリズムはとても気を使っています。もちろん本番もなのですが。そこで大切なリズム、メトロノームの話をしたいと思います。
・メトロノーム
本来、これは針があり、カチカチと音の出る、三角形のものでした。しかしもうこちらを使う人も少ないのではないでしょうか。初心者の方に最初に必ず揃えてほしいこのメトロノームなのですがもうスマートフォンのアプリになってしまいました。もちろん、今でも電子音のメトロノームは発売されています。ただし、音量が非常に小さい場合があります。アコースティックギターだと聞こえないくらいです。これはお店で試すか買ってみるまで分からないものです。そして安い電子メトロノームの機能はもうアプリにある場合が多いです。そしてアプリなら音量も試せるのでこれでも十分です。BossからDBー90という機種があるのですが、もともと定番でした。確かに使いやすく本当に多機能でアンプの代わりにもなるのでエレキの人には便利ですね。丸いジョグダイアルがあり速くテンポを変えることができます。ドラムセットにも搭載できるようになっているのですが、正直、初心者の方にここまでの機能が必要かどうか。レッスンでは色々なリズムの取り方をするので実はT’sGuitarSchoolはこのメトロノームをレッスンで使用しています。しかし家での練習ならアプリで問題なく、生徒さんからアプリが不満といった声を聞いたことがありません。しかし実際のところ、三角形の昔ながらのメトロノームが素晴らしいのは事実です。エレキギターのレッスン中でもそのカチカチといった音が聞こえるのです。電子音はどうしても音量に弱い部分があります。あのカチカチという音は他の楽器に紛れないので本当はとても優秀です。しかし残念なのは寿命が早いことです。多分レッスンで毎回使用すれば一年は持たないでしょう。摩耗してしまうのか正しいリズムが取れなくなるのです。そしてそれは私たちでも聞いて確認できるくらいのずれ方をしてしまいます。また細かい設定ができません。電子メトロノームは一単位で変化できるのでリアルなスピードで練習できますね。初心者の方にはアプリをお勧めします。
●メトロノームも本当に事情が変わったのだと思います。実際には楽器屋さんも販売をしなくなったくらいです。今度はどう使ったらよいか。
・基本的には四分音符で
一般的にはメトロノームのクリック音は四分音符で使います。ワン、ツー、スリー、フォーのリズムで構いません。ただ初心者の方は速く弾くことができない場合があります。まだまだスピードについてゆけないとしてもメトロノーム通りの練習はとても重要です。その時はクリックを八分音符として捉えます。そうなるとテンポ80は実際に四分音符だと40になります。最初から四分音符を40にしても構わないのですが、あまりに四分音符と四分音符が長すぎてしまい逆にリズムが取りにくくなります。とにかく遅くともよいのでしっかりとメトロノームを使ってほしいです。
・アクセントをつけない
このアクセントは音符の強弱ではありません。一小節目に違う音がなるように設定することです。メトロノームのメーカーによってはアクセントを色々な言い方をしているので使用しているもので確認をしてほしいです。このアクセントを利用するとどこが一小節目なのかわかるのですが逆にこの別の音色になるアクセントがなければ自分が一小節目が分からないという状況になりかねません。アクセントを頼って練習してしまうのですね。そうなると曲に合わせても結局はずれてしまう、入り方が分からないということもあり得ます。アクセントがすべてダメな訳ではありません。例えば自分が本当に一小節を確認できているか。もしくは中々メトロノームに入れないとなると一時的に使ってもいいと思います。また四分の五拍子といった難しい曲で本当にできているだろうか、そのようか時の確認にはとても便利です。要はアクセントを使いっぱなしにしないでほしいということですね。
●ここまでは基本的な使い方でした。そして実際にはどのように練習に役立てるか。
・限界まで遅く設定する
メトロノームを使用する練習の重要な点は自分のレベルがわかることです。メトロノームにも合わない状況でさらに曲も速すぎでついてゆけない。。そうなるともう練習が進みません。例えばエレキギターで弾きたいソロのフレーズがあるとします。ある部分が非常に速く指がついていかない。よくある例なのですがこのような時はメトロノームを使って自分のレベルを確かめましょう。何が何でも曲に合わせようとしてもそれは難しいです。それで何とかなるレベルなのかどうかです。スピードには慣れがあります。そのスピードに単に慣れていないだけならそれでいいのかもしれませんが、慣れの問題ではなく根本的に自分にはできていない。そうなるとやはりメトロノームでどの速さが苦手なのかを確かめます。その時、「いくらなんでもこれくらいなら弾ける」そのようなスピードに設定してください。「メトロノームを使ってゆっくりから練習してください」と私は言うのですが例えばそのできていないフレーズが120だとします。ではどこまでスピードダウンしたらよいかというと、大抵の方は100くらいにしてしまうのですね。ちょっと遅めという感じです。しかし実際はそうではありません。実は120ができていない人は100ですらできていない可能性があります。「これは遅すぎない?」と感じる80くらいまで下げたいです。そして80なら余裕で弾ける。そこが確認できればそこから徐々にスピードアップを試みてください。最初に自分のレベルを80に設定することからスピードに追い付けるようになります。そして少しメトロノームからズレだす速さが今の限界値なのでしょう。そこを知らないでとりあえず弾くだけといった練習をしても時間が逆にかかるだけです。そしてその限界を向かえているスピードが分かると弾き方に工夫ができるはずです。よく見かけるのが左手の親指の位置です。左手の親指はネックの上、6弦の方向に近づけば近づくほど他の四本の指は広がらなくなります。そうなると小指を使うことが困難になります。三本の指で弾くよりももちろん四本の指で弾く方が効率的です。小指が使えない人は実は親指の位置が悪すぎるのですね。最低限度、左手で握ってしまっても構いませんがやはり握りすぎはパフォーマンスを落します。また左手の親指は基本的には爪が天井を向きます。しかしネックを支えたいからか、爪が横を向いてしまう人がいます。不思議と親指の爪は横、壁の方向を向くと親指に力は入らず添えているだけの状態になります。左手の四本の指に効率的に力が入らないことになるのですね。これは左手の大切な基礎のフォームです。このように弾けないフレーズがあるして、工夫ができるのは自分のスピードの本当の限界値を知ることができるからです。この限界まで遅く設定することはとても重要です。
●このようにメトロノームを使用してみて下さい。リズム感をつけるためという人もいますがもちろん、それも理由です。しかしそれだけではありません。このように使うことにより自分のレベルが分かります。どんな練習でも自分がどのレベルにあるかわからなければ目指すところが分からなくなります。そこで動画を見る人もいます。そこで解決するのであればそれは問題ないのですが動画で弾き方をみて解決することがない場合ももちろんあります。それはやはり自分のレベルが理解できていないことにあります。独学でエレキギターやアコースティックギターを挑戦する人の大きな弱点はここにあります。しっかりメトロノームを使ってください。しかしここまでで本当に自分の力だけでギターが弾けるのだろうかということです。今回ここに書いたことは実際のレッスンの内容でもあります。これは指導者の私にとってとても大切なことでもあります。こういったこと、練習方法などはやはり習った方が良いのではと思います。今や、YouTubeでも楽譜付きのものがあります。しかし残念なことにパソコンの画面を見続けて練習している人が多いです。左手を見ないで練習することほど、ひどい練習方法はありません。手軽に練習できるのですが基本的なことがまったく抜け落ちてしまうことにもなります。もちろん、それで楽しいと思える人は問題ありません。楽しみ方は自由です。しかし「どうして上手くならないのだろう」と思っても画面を見続けている人、左手を見ないで練習する人、曲を全く覚えない人が上手くなるとは思えません。
参考にしてみて下さい。よろしくお願いします。