東京は渋谷にあります。個人レッスン専門のギター教室。T’sGuitarSchoolです。
T’sGuitarSchoolでは毎年12月は3回しかレッスンがありません。基本的に月に4回、固定制ですが
12月は毎年、第一、第二、第三の週で終了です。
●今回は安いギターと高いギター、購入に迷ったらどうしたらよいか。
残念ながら高ければよいというものではありません。大切なのは作りの良さなのかパーツの良さなのか。
もしライセンスなどで高くなっているのならギターの音の良さとは関係がないので安くてもよいです。
またパーツの個数などの違いで高くなっているだけならこれも安いほうでよいという判断もあるでしょう。
特にエレキギターはアコースティックギターと違ってパーツが多いため、ここはしっかり考えてギターを
購入したほうがいいですね。とにかく高ければいいものではありません。
・木材の違い アコースティックギターの場合
木材が違うから値段が違います。これはよく説明されることです。アコースティックギターの場合、単板と
合板があります。単板はまさしく本当に一枚の木から作っているので大切な条件です。特に表、トップと言われる
部分には合板がベストとされます。性能の問題です。ここに合板を使ってしまうと製作家の技術とは関係のない部分で
性能を落としてしまいます。実際には合板の方が安いのでここで値段の差が生まれますね。しかし単板だからといっても
全てそれでいい訳ではありません。木目のゆがみがない柾目がよいとされています。この柾目は真っすぐがよいとされていて
その幅は問題はないそうです。単板であっても大きく木目が歪んでしまっているとまた安くなります。真っすぐな木目はなかなか一本の
気から取れないためまた貴重になりますね。そうなりますとオール単板。サイドもバックも単板が一番高価になります。そして
サイドバック、合板でトップが単板。こちらの方が少しお安くなります。そしてオール合板。これが一番安い木材の組み方になります。
ここで一転注意があります。サイドバックの合板は確かに安くなるのですがハウリングに強いとされているためあえて合板を選ぶケースがあります。
ライブでたくさん使いたい、音量の大きいライブ、とくにバンド内でアコースティックギターを使用したい場合はあえてサイドバックに合板を選ぶことも
考えていいと思います。もし予算があるのなら無難なものはオール単板です。ただしエレアコ仕様ならサイドバック合板も選んでもよいかもしれません。
ここまで書きましたがあくまで同じ人、同じ工場ラインでの比較だと思って下さい。極端な話最高の製作家の人が一番安いオール合板でもそれはよい音
がするはずです。もちろん最高の職人のオール単板にはかないません。しかし最高の職人のオール合板はメーカーの一番安いオール合板とは格が違うでしょう。
今回の安い、高いを選ぶ基準は同じメーカー内での話だと思ってほしいです。初心者の方はこの辺の違いは難しいのでお勧めはトップ単板、サイドバックが
合板で予算内のものをお勧めします。
・木材の違い エレキギターの場合
エレキギターはその音の性質上、単板、合板、柾目、板目が音に関係しません。本当に関係したとしても
ほんのわずかです。ですのでパンフレットやスペックにもこの辺の記述がない場合が殆どです。エレキギターの木材の高い安いは希少かそうでないのかになる場合が
多いです。例えばマホガニー。こちらはホンジェラスマホガニーがとても良いとされています。加工しやすく反りにくいと聞きました。しかし1999年で
ホンジェラスマホガニーは輸出入禁止と聞いています。ですので現在では日本国内で手に入るものしかありません。そうなるとホンジェラスマホガニー仕様の
ギターはどうしても高くなります。有名なのはハカランダ、ブラジリアンローズですね。こちらも国内で手に入るものしか現在は仕様できません。ワシントン条約
によるものなので海外でも入手は難しいとされています。このホンジェラスマホガニーやブラジリアンローズは確かに高価になってしまうのですがそれでも
同じメーカーや職人が使用すると今手に入るものと比べてどれくらいの音の差が出るかは疑問です。私達は弾き比べができるので違いが分かるかもしれませんが
演奏を聴きに来ているお客さんに分かるレベルではないと私は思います。ですので希少材を好む人は高いギターとなりますが演奏活動を目指す人は私は
こだわる理由がないと思います。それでも例えばホンジェラスマホガニー仕様がいいというならこれは予算との相談で良いと思います。まずは一本、エレキギターを
購入したいという方はこだわる必要がなく、安さで選んでもいいのではないでしょうか。その次に木目です。アコースティックギターのところで書きましたが
真っすぐな柾目はアコースティックギターのような板を組んで作る弦楽器の条件です。例えばバイオリンなども絶対に柾目です。しかしエレキギターには
その木目で音の変化はないとされているのでどれだけきれいに木目が出ているかで値段は決まります。この木目の出方にこだわらないなら木目の出ていない
べた塗のギターはエレキギターでは安くなりやすいです。とても特殊なカラーのエレキギターではない限り、安く上がる部分ですね。そして音には関係が
ありません。そして実際にはボディも一枚、二枚の木を合わせて作っても問題がないとされています。もちろん精度は必要になりますがとにかく
ボディに振動が溜まることができれば問題はありません。ただし、実際にエレキギターの2ピース、3ピースなどは安いギターに使われることが多く10万円を
超えてくるエレキギターには稀だと思います。べた塗をされてしまうと実際は何枚の木なのか分かりませんが安いギター、特に2,3万円のギターには
覚悟したいです。ここで注意点があります。弦楽器はブックマッチと言って必ずトップは半分に分割します。それを張り合わせます。これはあえて行う製作なのですが
こちらもまたアコースティックギターでの話です。エレキギターでブックマッチをして制作するメリットはないとされているのですが弦楽器はかくあるべきという観点から
ブックマッチのエレキギターもあります。これは一瞬は2ピースに見えますが同じ木材なのでご注意ください。
●迷っているギターがあり、その値段の差がどこからきているかは大切です。そして高い方を選ぶならそれは音に差が出るものなのかどうか。その一点で
検討をしていいと思います。もちろん音に関する値段の高さではなかったにしてもデザイン的に気に入ったというならもちろんそれで高い方を購入することは
賛成です。自分が気に入ったと思えるものは初心者にとっても大切です。何が何でも安い方がいいと言いたいわけではありません。値段はどんな人も迷うと
思います。そして初心者の方に言いたいのはギターは必ず二本目が必要になります。それは使い込んで耐久できなくなることもあるからです。主にナットとフレットは
弦以外では最初に消耗します。ですのでいつか交換になるでしょう。その際どうしても最低でも1万円近い工賃がかかるのでその時判断が必要です。
もし3万円くらいで買ったものに1万円をかけて修理するかどうか。私はステップアップだと思ってその際には高いギターを購入してほしいです。もし3万円の
ギターがそれほど弾きこまれてリペアになっているならかなりの成長です。それは自分の実力アップも含めて新しいギターを購入してほしいです。
もちろんどうしても3万円のものがいいという愛着も理解できます。その時はそのギターを修理したうえでいつかいいものを買うことを前提にしてほしいと
思います。少なくとも1本購入すればいつまでも弾けるわけではありません。一番最初に最高のものを購入しているならそれもよいとは思うのですが一番最初の
ギターが50万円という人はなかなか少ないと思います。その50万円であったとしてもいづれは買い替えたいと私は思います。それは好みがしっかり見えてくる
からです。
●最終的に値段の差はどこからくるのか。これはもう明白な理由です。人の手がどれだけかかっているかに依ります。アコースティックギターの例を例えると
オールハンドメイドの場合、ネックとボディを一人の人がバラバラに作ることはなく、ネックならネック、ボディならボディといった工程で5本くらいの
ギターを同時に作り始めるそうです。ですのでワンクール過ぎて注文を出してしまうと、納期は少し伸びてしまいます。そのワンクールが4か月だとすると
年間で出荷できるギターの本数は15本。そうなれば1本のアコースティックギターの値段が20万円とはいかないですよね。ここでどうしてもオールハンドメイドは
50万円くらいの値段になるのです。多少の本数や木材の値段があったとしても実際にはその製作期間が重要です。もっとたくさん作ることができるといいのですが
人間の手でやるべき場所を機械で作ればそれは性能は落ちます。もちろん性能が落ちないなら機械があれば作れますが実際には最後、人間の手での調整は
必要です。エレキギターのピックアップもアルバイトの方で作れればそれは安くすみます。しかしハンドワイヤリングと言って一つ一つ人の手で仕上げてゆけば
1個のピックアップの製作に何時間もかかる。音はとてもいいものになりますがやはり製作期間が値段になります。このように最終的に値段の差はパーツや
付属品ではなく一本のギターがどれだけ人の手をかけて作られたかです。ギター、特にエレキギターはたくさんあります。またアコースティックギターのような
手間はとても少ないのも特徴です。そうなれば比較的エレキギターは安く良い物が購入できますね。
初心者の段階であってもギター選びは重要です。参考にしてみて下さい。