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アコースティックギターの保管、メンテナンスにつて。

東京は渋谷にあります。個人レッスン専門のギター教室。T’sGuitarSchoolです。

 

●今回はアコースティックギターの保管、メンテナンスにつてい書いてゆきたいです。生徒さんから質問がよくあるこの保管、メンテナンス。実は間違いだらけの情報が多いです。どうしてそんなに間違った情報が多いのか。実際にはアップデートがされていないのではと思うことがあります。例えば30年近く前の情報でそのまま伝わっている。そしてその情報は殆どが楽器屋さんからの情報のような気もします。実際、私はメーカーや楽器製作家に会ってきましたが実際にそういった情報やメンテナンスをいう人はいません。どうしてメーカーも言わないようなメンテンナスや保管方法がこれほど蔓延してしまうのか。色々と正しい情報やメーカー、製作家の話を書きたいと思います。特にこの話は初心者の方にしっかり理解しておいてほしいです。

 

・弦の状態

これは保管方法になります。弦を緩めて保管して下さいと未だに言う人がいます。しかしこの保管方法は間違いです。私がギターを始めた35年前からもう否定されています。ですが未だにこの保管方法を聞くことがあります。ではどうしてこのような保管方法が言われてきたか。実際に弦を緩めないとネックが反ってしまうアコースティックギターが存在したのだと思います。アコースティックギターのネックの反りに関してはマーチン、最初にアコースティックギターを作った人ですが、そのマーチンも心配だったのだと思います。少なくともあの長さのネックに鉄の弦を張ってそるかどうかがわからなかったのだと思います。アコースティックギターの原点はクラシックギターです。クラシックギターは弦がナイロン製です。鉄に比べて格段に張力は少ないですね。そしてネックも短く作られます。さらにナイロン弦は振幅が大きいことと、太いこともありどうしてもネックを太く作ります。これがまたネックの反りに対する強度を高めていました。しかしアコースティックギターは鉄の弦です。振幅も少なくなります。何よりコードを弾くためネックを細くしなければなりません。またアコースティックギターを抱えるフォームも変わります。クラシックギターはギターのボディが体の中心に来るのですがアコースティックギターは膝に置いたりすることもあり体の右側に来ます。そうなるとネックが長くなるほうが楽になります。このようないくつかの理由からネックが反りやすいギターに変化します。そこでトラスロッドが開発されました。ネックに埋め込んでいる鉄の棒です。最初から湾曲した状態でネックに組み込まれネックが反った時にその湾曲を利用してネックを真っすぐにします。もう絶対に反るので修正できるように考えたのですね。このようにアコースティックギターはネックが反ることを前提に開発されています。クラシックギターもネックが反ることがあるのですがそれは致命的な状況です。アイロンと呼ばれるもので熱で真っすぐにすることは可能ですが木に熱処理をするためあまり良いとは思えません。そしてまた反ってきてしまうことも想定されます。これは正直なところ元々から反りやすい木を使ってしまったことが原因です。しっかりとした乾燥がなされていないことが原因です。このように木がそることは当たり前なのですね。アコースティックギターは弾いていない時は弦を緩めたとしてもネックは反ります。逆に反りやすくなります。アコースティックギターのネックから張力が抜ければ反ることは当たり前です。もうすでに35年前からアコースティックギターのネックは弦の弦の張力で真っすぐになるように作られています。弦を緩めてしまえば当然、逆に反りやすくなるのですね。そしてどうしてネックが反る原因が弦の張力と断定できるのかも疑問です。弦の張力でいうならコントラバスなどはいわゆるベースなのですごい張力になりますね。ネックの反りの原因は大きくは湿度です。基本的にフィンガーボードは無塗装です。湿気を吐き出したり吸ったりしています。湿度が低くアコースティックギターのネックの水分が抜けてしまえばネックは起きてきてしまう、順反り。そして水分を吸ってしまい、ネックが膨張する状態で反る逆反りというのがネックの反りです。もちろん少し太めの弦を張ったりすれば反ります。しかし何度も言うようにネックは一般的にそるものです。ですので反るから弦を緩めるという発想はどう考えてもおかしいことです。そしてとにかく現在のアコースティックギターのネックは弦をチューニングした状況を想定して真っすぐになるように湿度管理をしています。そしてネックは木です。緩めてネックは反り、チューニングをしてネックがまっすぐになる。これを毎日繰り返せばネックは逆に傷んでしまうのです。木に安定した張力がかからず、また何度も無駄に伸ばしたり締めたりすればネックは痛みます。とにかく緩めるのは論理的におかしい行動だと思いますね。ではどうして昔の情報は「弦を緩めて保管」になったのでしょうか。まず本当に弦の張力で反ってしまった。まだまだ開発が進んでおらず、やはり弦の張力に負けて反ったのでしょう。ただし断っておくと弦を緩めて保管したほうが良い時もあります。例えば1か月以上弾くことがないなら緩めておいたほうが無難です。また配送の時もネックに力が加わっているよりは緩めていたほうが何かと安全です。結論、弦は緩めないで保管してください。特に毎日練習するのなら弦は全く緩める理由はありません。そして逆にネックにとって良くないことのほうが多いです。

 

・ケースで保管

アコースティックギターはケースの中に入れて保管することは特別な場合を除いておすすめはしません。ケースは密封まではないものの、外気を防いでくれています。しかしそれがゆえに湿度などが安定しません。雨の日に一度ケースでギターを持ち出して、濡れたケースがしっかり乾くには時間がかかります。また濡れていなくても外気よりは安定はしていません。もしのどが渇いたり、じめじめしたり擦れは人は湿度を気にすると思います。そうやって人と同じ環境に置くことでアコースティックギターも安定してゆきます。ケースは輸送の時には必要なのですが保管するものではないと私は思っています。特にハードケースへの保管はお勧めしません。過去に湿度が気になるということでハードケースに大量の乾燥剤を入れていた人を見たことがありますが乾燥しすぎたらまた問題です。特にアコースティックギターは乾燥と多湿なら乾燥のほうが怖いです。一般的に湿度が20%を下回れば木の水分が塗装を割って外に出ようとします。クラッキングと呼ばれます。そしてその状態が続けば木そのものが割れます。ネックは太く丈夫なので反るくらいですがアコースティックギターのトップは2ミリくらいだといわれています。薄いんですね。ですので割れてしまいます。アコースティックギターのトップがなぜこんなに薄いかというと振動をしっかり受け止め振動し続けるためです。アコースティックギターのサイドとバックは反射を担っているのでもう少し厚くそして固い木が使用されます。このような役目がありトップが割れるということは音に影響します。乾燥でのトップ割れは防ぎたいですね。ただし家庭の状況もあるかとは思います。小さいお子さんがいてどうしても危険、ギタースタンドが部屋の狭さで使えない等どうしてものことはあるかとは思いますのでその際は仕方がありません。おすすめの保管方法はギタースタンドです。そしてこのスタンドは壁側に立ててください。ギタースタンドは後ろからぶつかると全く安全ではありません。背後に壁があると安心です。そしてネックはロック、もしくはバンドを必ず締めてください。そうしないとネックに後ろから衝撃が加わればすぐに前に倒れてしまいます。前に倒れる場合はまだ衝撃は少ないのですがそれでも危険なことには変わりはありません。

 

●このように実際、まだまだ間違っている保管方法をいう方が多いです。楽器屋さんがとても詳しいわけでもありません。私の意見は数々の工房や職人さん、メーカーの話です。信憑性はあります。もちろん例外もあります。アコースティックギターの保管はギターの上達にもつながります。練習とは往々にして億劫なものです。ギターの講師をしていてそれはよく理解できます。練習を始めれば何となくのってきてはかどるのですがやはりギターを手にしてチューニングをするまではなかなか面倒に感じるものです。その時、ギタースタンドにアコースティックギターが立っていてすぐにギターが手にできれば面倒も多少は消えるでしょう。しまい込んだケースからアコースティックギターを取り出し緩めていたチューニングを正しい位置に戻すには私でも時間はかかります。そして大きく緩めすぎればチューニングは一度で合いません。上記にあるようにネックそのものが反るからです。ギターを練習する前に面倒なことが増えてしまいます。メンテナンスや保管の大切さはこのようにギターの練習時間にも大きく影響をしてしまうものです。これはギターの講師歴25年の経験です。ギタースタンドを使用していない人は練習量が少ないです。メンテナンスに関してはまず第一に弦の交換です。汚れたら乾拭きなども立派なメンテナンスですが多少指紋がついたり汚れても音に影響はありません。気分の問題だけです。しかし弦が古くなってチューニングが合いづらい場合、また練習までに時間がかかりますね。私たちができる最大のメンテナンスは弦交換です。一か月に一回は交換したいですがそうもいかない人もいるとは思います。せめて3か月に1回は交換してほしいです。これはネックのそりにも大きく影響します。

参考にしてみてください。よろしくお願いします。

 

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