東京は渋谷にあります。個人レッスン専門のギター教室。T’sGuitarSchoolです。
●今回はよくネットでも見かけるギタースタートセットです。前回はアコースティックギターでしたが今回はエレキギターについて。実際にはどちらも初心者向けとなっておりますが、付属してほしいものが違います。ですのでどちらがお得なのか、もしくは最初に必要なものはエレキギターとアコースティックギターでどう違うのかを書いてみたいと思います。
・本体
エレキギターとアコースティックギターでは実は値段は大きく違います。実際、エレキギターのコンセプトは大量に生産が可能、作りがシンプルにできるといったことが大きかったように思えます。例えばアコースティックギターはどうしても木目が大切になります。しかしエレキギターは木目でのサウンドが変わることがありません。木を使う量はエレキギターのほうが多いのですが木目がサウンドに影響しないため実際のところ調達は楽なのではないでしょうか。そして使用できる木材の種類が多いです。人気のボディ材はアルダー、マホガニーですがこちらも木目は関係ありませんので用意が楽です。実際に木目にふしがはいっていても構いません。ただし抜けてしまうようなふしはさすがに使えません。木目はサウンドには関係しませんが見た目には関係します。安いモデルはこのきれいな木目ではない場合が多いです。しかしエレキギターのまたいいところはべた塗といって木目を見えなくする塗装です。アコースティックギターにもべた塗はありますがやはり安いモデルで実際に人気はありません。アコースティックギターは高くなればなるほど、ナチュラル色の塗装ばかりになるのも特徴ですね。エレキギターは高価なモデルでもべた塗はあります。実際にそのほうが人気の色になっている場合もあります。黒のストラトキャスター、黒のレスポールなど、とても人気色になりますね。そうなると多少木目が歪んでいても高級なエレキギターに使用することは可能なので、また材の供給が楽になりますね。この材の供給がらくになると値段も下げやすくなります。エレキギターがアコースティックギターよりも安価に製作できる理由です。そして作りがシンプルなのも特徴です。しかし作りがシンプルなのは実際にはストラトキャスタータイプです。レスポールタイプはアコースティックギターとそれほど工程が変わりません。まずストラトキャスターはネックがまっすぐです。レスポールタイプにはヘッドに角度があるためどうしても木材を使用する部分が増えることになります。ストラトキャスターにはボディにアーチがないため、ストレートのネックを使用することが可能です。そしてストレートにすることによりネックとボディとの接着はねじで可能になりました。ボルトオンと呼ばれるのですが実際には角度などなどが大切なので侮れるわけではないのですがそれでもねじを使用しない接着よりは楽です。レスポールタイプはボディがトップとバックに分かれます。ここで木材がストラトキャスターより増えることになります。その接着の工程、そしてボディにアーチがあるためどうしてもネックに角度が必要になりねじ止めができません。そうなるとまたここで工程が複雑になります。このようにストラトキャスタータイプとレスポールタイプではまた値段に差がでます。エレキギターとアコースティックギターは値段が違うと書きましたが実際にはストラトキャスタータイプとの比較です。この点はご注意ください。
●上記のようにエレキギターといってもストラトキャスタータイプがアコースティックギターより安くなります。レスポールタイプの値段は目安としてストラトキャスタータイプの2倍の値段になる場合が多いです。それは作る工程が圧倒的にレスポールタイプだと多くなります。またねじでネックを止めない接合方法なのでどうしても人の手が大きくかかわります。この点もレスポールタイプが高い値段になる理由です。初心者の方ならどちらでもいいのですが安いほうとなるとストラトキャスタータイプがお勧めです。今度は付属しているもの。
・チューナー
こちらはアコースティックギターでもエレキギターでも同じものが使えます。ですので前回に書いた性能の問題はありますが付属されていれば助かります。最近ではクリップ式チューナーが圧倒的に増えたので付属をしているならこのタイプになります。本来、エレキギターのチューニングはシールドを挿して行うものでした。というのも、実際のところアンプを使うのでシールドは練習にも必要なのでどのみち、使用します。アンプに最初に挿すのか、チューニングにまず使用するかの問題でした。このクリップ式チューナーが最初に便利だったのはアコースティックギターでした。当時はチューナーに内蔵されているマイクからアコースティックギターの生音を拾うのでしが、内臓マイクの性能が悪ければどれだけ近づけても拾わないこともありました。このクリップ式チューナーはボディ、ヘッドの振動を感知するもので弦の振動を拾わないため、アコースティックギターのチューニングに重宝されました。ですのでエレキギターのチューナーとしても使われるようになったのはそれほど前ではありません。エレキギターのチューニングも大丈夫と認知されるようになったことが大きいです。ですので付属もこのクリップ式チューナーなら全く問題はありません。
・アンプ
アコースティックギターのセットとの大きな違いはこのアンプにあります。またそれほど安いものでもないので値段は大きく左右されます。現在ではエレアコ仕様のアコースティックギターも増えました。しかし初心者セットに付属していることは稀です。最初に必ず必要なものではないからです。しかしエレキギターはアンプがあってこそのサウンドなのでどうしても最初にほしいですね。エレキギターは練習ならアンプがなくても十分音が聞こえます。ヘッドフォンまでしたアンプを使う必要もまずはないのですがいずれはアンプのセッティングも必要になりますので最初にあってもよいものです。ただし、このアンプを付属で購入するにはネット販売か店頭販売かに大きくかかわります。ネット販売なら配送なので問題はありませんが、アンプは本来、そこそこ重たいものでもあります。店頭販売になるなら持って帰るのが大変です。アンプだけ別に送ってもらうことになるかもしれません。そして軽いものも最近はあります。しかし、良いアンプはどうしても重量があります。ギター本体とアンプも同時となるとどうしても軽い、音さえ出ればそれでよいものになってしまいます。正直なところ家での練習でそれほど高価なアンプは必要ありません。ただエフェクターの勉強、アンプセッティングの勉強も必要なのでなくてはならないのですがそれでもプロが使うような大きなものは必要ありません。またそのような大きな音が出せる環境も少ないのではないでしょうか。ぜひアンプ付属のものをお勧めしますがネット販売か店頭販売かは検討してみたいところです。
・ピック
こちらもまず付いていると思います。複数枚あるセットも存在します。ピックそのものは後で買っても110円、それより高いものもありますがこの値段なので正直おまけかもしれませんね。本来、ピックにアコースティックギター用、エレキギター用はありませんが大半のエレキはティアドロップス型を使用しているということもありこのタイプが付属していれば問題はありません。ただし厚さは重要です。ペラペラに感じるような薄いタイプはお勧めしません。弦の圧力にまけてしまい、しっかりとしたピッキングができないからです。付属のピックにとても気に入るものがあればそれはそれでラッキーなのですが先生などにお勧めを聞いて後で買いなおしてもいいものです。
・ギタースタンド
こちらは私が付属しておいてほしいものです。アコースティックギターの時にも書きましたがとにかくギターはしまい込むものではありません。家の環境などでどうしてもケースに入れないといけない場合を除き、やはりスタンドで保管してほしいです。ただこちらも小さなものではないので店頭で購入する場合、本体、アンプ、ギタースタンドは結構な大きな荷物になります。付属ではないですが後日でも購入をお勧めします。1000円前後のもので構わないので是非初心者のうちに購入してみてください。
・メトロノーム
こちらは付属どころか、もう楽器店でも販売がなくなりつつあります。前回のアコースティックギターで書きましたがこれはもう、スマホのアプリで十分です。
・シールド(ケーブル)
こちらはアンプを購入したら必要になります。以前はエレキギターを購入したらギター本体の付属としてついてきたものだったのですが、現在はどうなのか把握はしていません。この初心者セットというのは原則、その日からギターが始められる、それにはどんなものが必要なのかをセットにしています。ですのでピックもついています。エレキギターなのですからやはりシールドも付属はするのですが、これが本当にただ付属しているだけ。私の過去の経験ですが一日も持たないうちに断線して壊れてしまいました。シールドはエレキギターの電流を流す非常に大切なものです。付属程度の価格帯ではしっかり使えるものではありません。また安くするためにも短いものでアンプにつないで立ってエレキギターを弾いたら長さが足りない。この程度のものです。それほど高価なものではないので、もしアンプを購入するなら別途新たに買いなおしてほしいものです。
●このようにどうしてもセットには弱点もあります。付属しているからといってしっかり利用できるクオリティかといえばそうでもないものもあります。
参考にしてみてください。よろしくお願いします。