東京は渋谷にあります。個人レッスン専門のギター教室。T’sGuitarSchoolです。
●今回はエレキギターの弦を色々と書いてみたいと思います。前回はアコースティックギターでしたがまた少しアコースティックギターと違いがあります。間違えてアコースティックギターの弦を買ってしまったという話もよく聞きます。弦は各メーカー、パッケージにその違いを書いて区別をしてくれています。またマーチンというメーカーは元々がアコースティックギターのメーカーなのでエレキ弦を発売していません。それに対してギブソンはエレキギターもアコースティックギターも発売しているため両方の弦を発売しています。間違いやすいですね。そして根本的にエレキギターとアコースティックギターは違います。ヘッド、ネックの太さ、使われている材質。木材。色々と違いはあるのですが最大の違いはボディが空洞なのかどうか。エレキギターを一言でいうなら空洞がないことです。例えばセンターブロックの入ったセミアコ。ジャズで使用されるフルアコ。エレキのボディをくり抜いて空洞を作ったセミホロウなどピックアップを使用しているのにも関わらず空洞があるエレキギターもあります。しかし最大の違いは全くの空洞です。確かにフルアコも全くの空洞ではありますがピックアップを使用しているエレキギターのようなもの。ですのでこのフルアコだけは特殊ですね。実際、ピックギターとも呼ばれるこのフルアコは使用する弦もアコースティックギターに近い形状です。フラットワウンドといった弦ではありますが3弦までが巻き、そして1、2弦はプレーンといったことは全く同じです。アコースティックギターのサウンドホールを無くした、というようりはバイオリンをギターにしたといってもいいかもしれないです。しかし音が小さすぎてバンドに入っても何も聞こえないでしょう。またピックアップを使用したとしてもフィードバックがひどく大音量に非常に弱いです。そのため全体的におとなしい音楽であるジャズに好まれたのかもしれません。実際にフルアコは一般的なものはネックはメイプルバック、エボニー指盤。そしてサイドバックをメイプル、そしてトップがスプルースとバイオリンの木材と全く同じなのです。アコースティックギターのサウンドホールがない、かつピックアップ付きのアコギに思われますがサウンドと使用方法が大きく違いうのは面白いですね。そしてフェンダー社が開発したセミホロウ。こちらもまた特殊です。このセミホロウはくり抜きです。アコースティックギターやフルアコは通称箱物と呼ばれるのですが、これはトップ、サイド、バックを組み合わせた「箱」にしたからそのように呼ばれるようになりました。しかしセミホロウはテレキャスターのボディをくり抜いたものです。フェンダー社はあくまで箱を作るギターメーカーではなかったためこのように「くり抜き」を使用して空洞のあるギターを開発しようとしたのでしょう。このように例外的なギターもありますがやはりアコースティックギターとの違いは空洞なのかそうではないのかです。実際、ピックアップを使用するギターはエレキ弦を使用します。アコースティックギター弦を張ってあるものは見たことがありません。もちろんそれは構わないのですがどうして空洞のあるエレキはやはりエレキ弦なのか。
・音の仕組みの違い
アコースティックギターだけではなく箱もの、バイオリン、コントラバスなどはアタックによるサウンドの楽器です。弓でもピックでも指でもとにかく引いた瞬間に音がなりそこから弓を使用するものの、最初はアタックしたサウンドになります。そしてアコースティックギターはそこからサウンドホールを飛び出し音が遠くへ飛びます。バイオリンはアタックではあるもののその音を持続できるよう弓を引くのでしょう。フルアコはそのアタックをピックアップが広います。アタックされたサウンドはサイド、バックが反射を始めます。音は放射線状に広がりやがて消えてなくなります。音の力にもよりますがそれは瞬間的なものでもあります。しかしエレキギターは違います。空洞がないためその振動はボディにずっと残ります。ボディが振動を続けると弦振動は止まりません。それをピックアップがとらえ続けることから大きな持続性の波を引き起こします。サスティーンですね。ですので瞬間的なサウンドと持続的なサウンド。ここが一番の違いです。アコースティックギターやフルアコのトップが柔らかい方の部類にあたるスプルースといった木材を使用するのも理解ができます。逆にエレキギターはそういった役目がボディにないため、箱物の楽器よりも木材の種類が豊富になりまた、サウンドもかなり違いを見せていますね。
・アタックかサスティーンか
このような違いからか、エレキギターは6、5、4弦が巻き弦、そして3、2、1弦がプレーンになります。ボールエンドを使用し、弦を張る仕組みはアコースティックギターもエレキギターも同じなので張ることができないわけでは決してありません。しかし、この弦の形状が違うのです。実際には3弦からプレーンなのはクラシックギターと同じです。ですので前回に書いたようにアコースティックギターはクラシックギターから生まれたとはいえかなり改良され、そしてかつ弦の形状も変更されたんですね。この点は面白いです。巻き弦はそれほどそれほど持続はせず、またコードには向いていますがソロを弾くにはどうしても太くなることから不向きな感じがします。エレキギターは元々はコードを弾くために作られています。ギターはフレットから弦が近いほど簡単に押さえることができます。しかしフレットを高くすれば弾きにくくもなります。そこでエレキギターはネックのカーブ、アールといいますが、これをきつく、いわゆる丸みを強くしました。指板の上に丸く見えます。そしてコードを弾くときは弦は硬いと弾きにくく、またネックが太いと弾きにくい。そんなことからネックを細く、そしてネックが細いなら細い弦を張らないとネックの反りにつながるなどの理由もあってか、弦は細くなりました。アコースティックギターの標準的な1弦の太さは0、12ミリなのに対してエレキギター、特にフェンダーは0、09ミリです。格段にエレキギターのほうが細いですね。この細い弦、細いネックがエレキギターのソロ演奏を取り入れられるようになった理由でもあります。メーカーの最初の意図ではない部分も興味深いです。そしてボディがサスティーンをするためロングトーンを弾くことが有利になりました。そこでまた弦も細くなったのでしょう。チョーキングのような弦を押し上げるテクニックはまさしくエレキならではの奏法です。力のある人ならアコースティックギターでもチョーキングは可能ですがやはり音がサスティーンしないのでかっこよくありません。例え弦を細くしてもその良さは出ないでしょう。
・質
こちらは逆にアコースティックギターとは違い殆どがニッケルです。ジャズのフラットワウンドは主流がステンレスですがこちらの方が特殊です。ジャズに求められたサウンドからフラットワンド、ステンレスといったことになったのかもしれませんがこれは特殊ですね。ではどこで弦の違いがあるかというと芯になる、この芯線に秘密があるようですね。DRというメーカーの弦には種類があり、この芯になる線が巻きになるものだけは六角形をしているようです。強度なのかサウンドの違いなのかは分かりませんが面白いですね。この芯線のテンションが各メーカーの違いになるようです。
・太さ
アコースティックギターにあまり見られないのがこの太さです。1弦から6弦の太さの違いのラインナップがたくさんあります。特にダダリオは巨大なメーカーなのでかなりの種類があります。初心者の人がどれも同じようなものだと思ってしまい適当に選んで失敗した、実はこの太さを間違えるようです。メーカーはパッケージの色を全然違うものにしたりと区別ができるようになっていますが初心者の人にはその区別がどこにあるかがわからないようです。ですので自分がいつも張っている弦を選ぶにはパッケージの色と各弦の太さをしっかりメモしてほしいです。弦に関しては1弦のサイズと6弦のサイズが同じならほぼ同じものではあります。エレキギターに多いのは1,2,3弦はチョーキングをするから細い弦だけれども、4,5,6弦はヘビーなサウンドを出したいので太めの弦。このようなサイズがあります。ですので1弦だけで判断してしまうと太い弦は違うといったことになります。まずは1弦と6弦のサイズを覚えておいてほしいです。例えば009、010など。そして6弦のサイズですがそこまでではほかの弦に違いがあるかもしれないのでメーカーの品番を確かめましょう。色であったりダダリオというメーカーならサークルの色であったり。とにかく区別はしっかりできるようになっています。決して同じ品番だけれども違うサイズといったことはありません。また同じサイズに見えても通常の弦、フラットワウンド、そしてハーフワウンドといった弦の質もありますのでとにかく良く見て購入してほしいです。もしサイズ、質を間違えてしまえばネックが反ってしまうことになります。また太さが変わればナットの溝のサイズも違うためギターの本当の振動は得れなくなります。色々とサイズ間違いはまずいことになりますので本当にご注意です。
●このように質の違いは殆どないエレキギターの弦ですが太さの種類が本当に多いです。またとても柔らかく感じる弦と硬い弦があります。同じ太さでも硬さはバラバラです。エレキギターには本当にたくさんの奏法があります。チョーキングを一切しないなら強度も含めて太めの弦を選ぶ人もいるでしょう。とにかく手に負担のない細い弦が好きだという人もいると思います。
参考にしてみてください。よろしくお願いします。