Loading...

色々あって迷わない?アコースティックギター選び

東京は渋谷にあります。個人レッスン専門のギター教室。T’sGuitarSchoolです。

 

●今回は引き続き初心者に向けてのアコースティックギター選びです。実は正直なところ、初心者の方にもアコースティックギターは高いものをお勧めしたいです。しかしどれだけ続けれるか分からない、挫折してしまうかもしれないなど、初めて挑戦するアコースティックギターにあまり高額な値段はかけれないのも事実です。アコースティックギターの値段は本当に色々な要因があります。ロゼッタと呼ばれるパーツがあります。サウンドホール(音の出る穴)の周りに装飾として施されるデザインのことを指します。多くの場合、木材、貝殻、プラスチック、金属などの素材で作られており、ギターの美しさを引き立てるだけでなく、サウンドホール周りの補強の役割も果たします。これは本当に見た目で「高そう」に思えるパーツなのですが前回に書いたようにスプルースの産地と言われるとそれがどうして値段に関わるのか、見た目では待ったく分かりません。まずトップの板の役目から書きたいと思います。

 

・トップの役目

「トップ」とは、ギターの表板(表面の板)のことを指します。トップ材の種類によって、ギターの音の特性が大きく変わります。弦から伝わった振動をトップが拾うことにより振動します。この振動は効率よく振動する、長い時間振動するといってもいいのかもしれません。その振動し続けることによりサイドとバックが音を反射してサウンドホールから飛び出すのがアコースティックギターの仕組みです。因みに他の弦楽器にはサウンドホールはありません。結果、ずっとボディ内で反響し続けているのですね。前回、予算があるなら単板を選んでほしいと書きました。よく聞く説明には

  • 単板(Solid Top):一枚の木から作られ、響きが豊かで時間とともに音が良くなる
  • 合板(Laminated Top):薄い木の層を重ねて作られ、耐久性が高いが音の響きは単板より劣る

このようにあります。この合板はトップは、一般的に3層以上の木材を接着剤で張り合わせた構造になっています。
通常、次のような層構成です。

 

  1. 表面(化粧板)

    • 目に見える部分で、高級木材(スプルースやマホガニーなど)が使われる。
    • 見た目は単板と変わらないが、音響にはそこまで影響しない。
  2. 中間層(コア材)

    • 強度と安定性を高めるための層。
    • 安価な木材が使われることが多い(ポプラ、バスウッドなど)
  3. 裏面(補強材)

    • 振動を支え、耐久性を向上させる。
    • こちらもコストを抑えた木材が使われることが多い。

このような仕組みになっています。これは一般的な例でもあります。このように使う木材が節約できるためどうしても値段を安くしたいならこの合板になってしまうのですが木の振動が制限されるため、音の伸びや豊かさが単板に比べて弱いのがどうしても弱点です。また木材がサンドイッチのようになっているため、緊張などの変化がありません。そうなりますと合板は音が成長しないとも言われています。

 

●前回にも書いた通り、やはり少し予算を割いてでも合板よりは単板をお勧めします。そしてボディにはサイドとバックがあります。トップは柔らかい振動の起こりやすい剛性をもつものが最適なのですがサイド、バックは反射が必要なため木材が違います。そして一般的にはサイド、バックは同じ木材を使います。

 

・サイド

トップ(表板)とバック(裏板)をつなぐ側面部分のことを指します。サイドの材質や構造は、ギターの音質や鳴りに大きく影響します。そしてサイドは、次のような役割を持っています。

  1. 音の反響をコントロールする

    • サイド材が硬いと音の反響が強くなり、クリアで明瞭な音が得られる。
    • 柔らかい材だと、音が丸くて温かみのある響きになる。
  2. ギターの剛性(強度)を高める

    • サイドはボディの形を支える部分でもあり、剛性が高いと音の振動がトップやバックにより効果的に伝わる。
  3. 音の響きを均一にする

    • トップやバックの振動を適度に制御し、バランスの取れた音作りに貢献する。

とても大切な役目です。そして木材は

1. ローズウッド(Rosewood)

特徴
✔ 深みのある低音と煌びやかな高音
✔ サスティンが長く、リッチで広がりのある音
✔ クラシックギターや高級アコギによく使われる

主な種類

  • インディアン・ローズウッド → 最も一般的、バランスの良い音
  • ブラジリアン・ローズウッド → 高級木材、音の密度が高くレア

2. マホガニー(Mahogany)

特徴
✔ 中音域が強く、温かみのあるサウンド
✔ 音が分離しやすく、アタック感がある
✔ ブルースやカントリー系に向いている

 使用例

  • Gibson J-45 や Martin 000-15 などに採用

3. メイプル(Maple)

 特徴
✔ クリアで明るく、音の輪郭がはっきり
✔ サスティンは短めで、歯切れの良い音
✔ フラットな特性で、ライブやレコーディングに適している

使用例

  • Gibson J-200、Taylor 600シリーズ

4. コア(Koa)

特徴
✔ ウクレレにも使われるハワイ産の木材
✔ 高音が美しく、弾き込むほど甘い音になる
✔ ルックスが美しく、木目の個性が強い

使用例

  • Taylor Koa シリーズ、Martin 0-28K

5. オバンコール(Ovangkol)

🎸 特徴
✔ ローズウッドに近いが、少し明るい音
✔ 低音の響きが豊かで、ストローク向き
✔ アフリカ産の木材で、サスティンも長め

🎸 使用例

  • Taylor 400シリーズ

6. サペリ(Sapele)

特徴
✔ マホガニーに似た温かい音
✔ 少し明るく、歯切れの良いサウンド
✔ コストが低く、エントリーモデルにも採用される

このような種類があります。しかしコア、オバンコール、サペリに関しては私は殆どみたことがありません。木材がもう取れないこともあります。音とよりも希少価値のほうが高くなり値段も上がるのではないでしょうか。そしてなんといっても値段その他が手ごろ、かつ一般的なのはローズかマホガニーです。この材がスペックにあれば初心者の方にはまずは安全なのではないでしょうか。

・バック

合板バックの特徴は

 ・価格が安い → 単板(ソリッドウッド)よりコストを抑えられる

・耐久性が高い → 湿度や温度の変化に強く、割れにくい

・音が安定しやすい → 木材のクセが少なく、均一な音が出やすい

 

とあります。先に書いたように基本的にサイド、バックは同じ木材なのでここでは材は改めて紹介はしませんがやはりコストが押さえられますね。そしてどうのような組み方をするか、どの木材店が作った合板か、実際にはそれに尽きますがサイド、バックに関しては決して単板がお勧めではありません。サイド、バックは反響が役目です。しかし反響がよくなればよくなるほどハウリングを起こしやすいいのも事実です。そして最近では安いものであれ、ピックアップ搭載のモデルも増えてきました。私個人的にはこのピックアップ付きモデルをお勧めします。本当にどこかで演奏することになったらとても便利です。そして逆になければ本当に不便、もしくは上手く音が拾えないなどの問題がでます。そうなりますと、やはりハウリング対策は必要になりますね。あまり安い合板はよくないのかもしれませんがその役目では音を少し吸収すてくれる合板も選択肢にあると思います。

 

●このように合板、単板でもトップかサイド、バックかで違いが出てしまいます。上記にありますように、トップはこだわって単板をお勧めしますがサイド、バックに関しましてはもし合板でも私としては良いのではないのでしょうか。そしてこれ以外にはもう見た目でもよいと思います。

 

・ロゼッタ

先に少し書きましたがサウンドホールの装飾です。

1. 木材
メイプル、ローズウッド、エボニーなどの木材を使用し、美しい模様を作ることが多い。
高級ギターではアバロン(貝)やパールと組み合わせたインレイも見られる。

2. 貝殻(アバロン・マザーオブパール)
高級モデルに多い。
美しい光沢があり、ギターの高級感を引き立てる。

3. プラスチック・セルロイド
コストを抑えるためにABS樹脂やセルロイドが使われることが多い。
モザイク柄や複雑なデザインを施しやすい。

 

とあります。2のアバロンなどは高いギターに多いのはよくわかります。実際にはこの貝殻でもフェイクはあります。それでも高級なフェイクはかっこいいですね。3がそのフェイクになるのですが実際には本物に近いクオリティのものもあります。結局は安っぽいのもはそれなりにギターの値段も安くなります。最初は見た目はどっちでもいいというなら初心者の方には値段と相談だと言いたいですね。

 

・ヘッド

こちらはメーカーのロゴが入るものです。メーカーロゴなので値段が変わるものではないのですが実はこのロゴをプラスチック、貝殻などで装飾すると実際には値段に差が出ます。単なるゴールドのシールのものはやはり安いものが多いです。しかしこれに関してはメーカーロゴなので安くしたい、高級感を出したいといった要因にならないので仕方がない部分でもあります。同じメーカーでラインナップがあるのなら、実はこのロゴに使われている材質が変わることもよくあります。

 

●アコースティックギターにも本当は色々あります。見分けのつく部分とそうではない部分。実はエレキギターははっきりわかる場合が多いです。ですので初心者でも購入はお好みでいいのかもしれません。初心者の最初の一本であってもいいのですが、どうしてもエントリーモデルは修理、メンテナンスは大変になる場合が多いです。私としては後々、アコースティックギターが楽しくなってきたらやはり上級モデルに買い替えてほしいと思います。最初の一本で練習を続けようと思っても実力とギターが釣り合わない、それも生徒が上手いのにギターがついてゆかない。このような現象もよくあります。

 

参考にしてみて下さい。よろしくお願いします。

 

このページのトップへ移動