東京は渋谷にあります。個人レッスン専門のギター教室。T’sGuitarSchoolです。
●今回は動画でギターの奏法が本当に勉強できるのか、書いてみたいと思います。結論はできます。しかし完璧ではありません。ギターはアコースティックギターもエレキギターも同じく「移動ド」の楽器と言われています。初心者の方には難しいのかもしれません。しかしこの「移動ド」がとても大切です。簡単に言えばドが移動でき、定まっていないと言えます。それに対してピアノは明白にドの位置が分かりますね。まずドレミファソラシドを覚える必要がありません。ギターにおける「移動ド」は、固定ドとは対照的な音感の捉え方で、音楽理論をギターに応用する上で非常に重要な概念です。詳しく解説します。
・移動ドとは?
移動ドとは、ハ長調の音階、CのMajorScale(ドレミファソラシド)の各音を、その調における主音(トニック)からの相対的な音程として捉える考え方です。つまり、どんな調であっても、その調の主音がドに認識します。
固定ドとの違
固定ド: 音の名前(C, D, E, F, G, A, B)と音の高さが絶対的に結びついています。例えば、ピアノの鍵盤で「ド」の音は常にCの音です。ピアノは固定ドの楽器になります。
移動ド: 音の名前(ドレミファソラシド)は、調が変わると実際の音の高さが変わります。例えば、ニ長調、DMajorScaleであれば「レ」の音が「ド」として認識されます。
移動ドのメリット(ギターにおける重要性)
・スケールやコードの理解が深まる:移動ドで考えると、長音階は常に「ドレミファソラシド」、短音階は常に「ラシドレミファソラ」のように、音程のパターンとして捉えられます。
これにより、様々な調のスケールやコードの構成音を、個々の音名ではなく、主音からの相対的な位置関係として理解できるようになります。
例えば、メジャースケールは「ド-レ-ミ-ファ-ソ-ラ-シ-ド」という音程のパターンであり、どの調でもこのパターンを適用すればメジャースケールを弾くことができます。
アドリブや作曲に応用しやすい:
コード進行を分析する際に、各コードがその調のどの機能を持っているか(トニック、ドミナント、サブドミナントなど)を移動ドで捉えることで、より音楽的なフレーズを作りやすくなります。
例えば、ドミナントコードの上では、「シ-レ-ファ-ソ」といったドミナント特有の響きを持つ音を意識的に使うことができます。これは移動ドで考えると「シ-ミ-ソ-レ」に対応します。
・ギターの特性に合っている:ギターは、同じ音程関係のフレーズを、ネック上の異なるポジションで容易に演奏できます。移動ドの考え方は、このようなギターの特性と非常に相性が良いです。
例えば、Cメジャースケールのあるポジションの形を覚えてしまえば、それをそのままGのキーのポジションに移動させることで、Gメジャースケールを弾くことができます。これは、どちらのスケールも「ドレミファソラシド」という相対的な音程関係を持っているからです。
・耳コピ能力の向上:移動ドで音楽を聴く訓練をすることで、音程を絶対的な音名ではなく、調の中での相対的な位置として捉えることができるようになり、耳コピの精度が向上します。
・移動ドの具体的な使い方(ギターでの実践)
キーの特定: まず、演奏する曲や練習するスケールのキーを把握します。
主音(ド)の特定: そのキーにおける主音(トニック)をギターの指板上で見つけます。例えば、Gメジャーキーであれば、Gの音が「ド」になります。
・スケールやコードを相対的に捉える:Gメジャースケールであれば、G(ド)、A(レ)、B(ミ)、C(ファ)、D(ソ)、E(ラ)、F#(シ)、G(ド)というように、各音を主音からの距離で認識します。
Gメジャーコードであれば、G(ド)、B(ミ)、D(ソ)という構成音を、主音からの相対的な音程として捉えます。
・指板上のパターンとして覚える:
様々なスケールやコードの形を、移動ドの音程関係として指板上で覚えます。例えば、メジャースケールの指板上のパターンを「ド-レ-ミ-ファ-ソ-ラ-シ-ド」という音程の動きとして覚えます。
これにより、キーが変わっても同じパターンを適用することで、そのキーのスケールやコードを演奏できます。
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移動ドを習得するための練習方法
様々なキーでスケールを弾く: メジャースケール、マイナースケールなどを、様々なキーで移動ドを意識しながら練習します。
コード進行の分析: 好きな曲のコード進行を分析し、各コードがそのキーのどの機能を持っているかを移動ドで考えます。
耳コピ: 簡単なメロディーを楽器で耳コピする際に、音程を移動ドで捉えるように意識します。
ソルフェージュ: 移動ドによる音階唱や旋律聴音の練習は、移動ドの感覚を養うのに非常に効果的です。
まとめ
ギターにおける移動ドの考え方を理解し、実践することで、音楽理論とギター演奏がより深く結びつき、演奏力、アドリブ能力、作曲能力の向上に繋がります。最初は難しく感じるかもしれませんが、意識して練習することで必ず身につけることができます。
●このように他の楽器とは大きく違うのですね。ですのでピアノのように練習しても効果がありません。まずは音程を覚えるのではなく位置をしっかり指で覚えることが大切です。しかし逆に、不便もあります。ギターはピアノと違い、同じ高さの音が複数あるのが特徴です。これは弦楽器のみの現象です。管楽器にもありません。また特別なものを除いては弦楽器、バイオリン、チェロ、コントラバスなどは基本的には4弦です。しかしギターは必ず6弦あります。弦の数が多いだけにまた同じ音程が増えるのですね。例えば2弦1フレットは「ド」なのですが実は5弦15フレットも「ド」になります。5弦と2弦なので大きく音色が違うのですが周波数は同じです。そうなると一体、どこからスタートしたら一番弾きやすいのかが難しくなります。実際にも上記のように同じ音でフレット違いの楽譜がたくさんあります。さすがに楽譜を作成する人もそこまでは研究していないでしょう。また指の運び、運指も本当に人それぞれです。「これは実際にはやりにくいのでは?」と思われる弾き方でも実際のプレイヤーがそう弾いている、このような状況もよく見かけます。そこが動画のいいところですね。
・ギター奏法に関する動画サイト YouTube
こちらは定番です。何といってもパソコンなら大画面で観れるので本当に楽ですね。もちろん誰もアップしていない曲もあるので全てではありません。しかしそのバンドのヒットソングなら必ずと言っていいほどアップされています。また過去の名曲もあります。そして最近では複数の人が弾いているのでどの人の指使いを参考にするかも選べます。そして音程を変えることなく、スピードを遅くすることができるので曲にはまだ合わせることができない初心者にはお勧めです。
・Instagram、Ticktok
こちらも本当にたくさんの人が弾いています。ただし、スマホがメインで観ている人には少し不便なのかもしれません。また流行りの曲は本当にたくさんの人が挑戦していて面白いと思います。
●このように動画がとても人気なのはよくわかります。しかし残念ながら動画にも弱点はあります。ギターの先生だけではなく一般の方もたくさんいます。我流なのか基本に忠実なのか初心者の人には判断がつかないことがあります。また手の大きい人が多いです。その人ができても自分には真似ができない、こういったケースもたくさんあります。また著作権の都合、いつの間にか、消されていたということも多々ありますね。確かに動画はかなりの確実性はあるのですが実際は動画だけは難しく、よい参考になる。このように思います。最近ではアーチスト自身が自分の曲の弾き方をアップしていることもあります。これは参考にすれば絶対に弾ける。そう思う人も多いでしょう。しかし残念ながらそうではありません。そのアーチストは簡単に弾いている様に見えます。もちろん簡単なのでしょう。しかし初心者にとってアーチストが楽々と弾く部分が難しいのです。完璧に動画で判別できなことも多いです。講師の私ならどの指を使ったか動画で確認できなくとも想像で見えなかった部分を補えます。これが初心者には難しいのですね。タブ譜と全く違う指使いになっていたら楽譜を書き直すしかありません。運よく、そこにタブ譜が記載されていたらいいのですがない動画もあります。そしておそらく著作権の都合、五線紙は載せれないのではないでしょうか。そうなると、タブ譜を作成するときに間違えたのか、根本的に音を取り間違えたのか判断がつかないのですね。
もし動画を観ても弾けない。そうなるとやはり習うしかないと思います。実際に奏法を聞くことが一番早いです。私は講師歴24年なので慣れもあってこの場合はこれと思いつくことが多いです。感が働くのですね。そして何よりその生徒さんがその曲を挑戦するにあたり何が足りていないのかもわかります。曲さえ弾ければいいのであれば練習あるのみなのですがもしこれからもたくさんの曲に挑戦したい、アコースティックギターの次はエレキギターも弾きたいとなればしっかりとした基礎が大切です。上記にある移動ドは音楽理論にが必要になります。ちょっとのことでもこのように基礎がないとつまずいてしまうのですね。最初はギターを買って好きな曲の動画を探して弾くのも一つの方法ですがギターが弾けるようになることに思い入れがあるならまずはギター教室に通ってほしいと思います。ギターが弾けるようになる最大の近道ではないでしょうか。
参考にしてみて下さい。よろしくお願いします。