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今回はウレタン塗装の続きです。ギターの塗装は防御の役目です。その点
においてはウレタン塗装は非常に長けています。ラッカー塗装よりも安く
ポリウレタンなので水分にとても強いです。
良い点が多いのにも関わらず高いギター、エレキギターなら20万円を超えてくるもの
はラッカー塗装になる場合が多いです。もちろん色々な理由からウレタン塗装も
あります。やはりサウンドを重視していると思われます。ウレタン塗装とラッカー塗装
の音の差は本来は好みです。それは塗装の影響は音にはあまりありません。やはり
ギターの音を左右するのは何と言っても木材だからです。しかしやはり従来の音といえば
ラッカー塗装です。そしてウレタン塗装にはないなんとも言えない光沢もまたいまだに
人気の塗装なのでしょう。
塗装の弱点はギターの鳴りを必ず殺してしまうことです。塗装しないギターの音の方が
断然いいはずです。さすがに無塗装のギターは見たことがありませんし、まずありえない
と思います。ギターは木工なので塗装がなければ水分を吸収し、元の形のまま長くは使えない
でしょう。そして軽くぶつけただけでも破損すると思います。ですから塗装は極力ギターの
サウンドを殺さないようにするのが職人の目指すところです。
大切なのは薄く塗ることです。ラッカー塗装はそのラッカーが高価です。しかも光沢を出すには
何度も研磨が必要です。ですから薄塗でかつ、光沢をだすのはとても大変な作業となります。
高い技術が必要です。ウレタン塗装もまた同じです。大量に生産できる、安価な塗装なので
厚塗りしている場合が多いです。またシースールーにしなければ木材の柄をごまかしやすいです。
ラッカー塗装だと厚く塗るのでやはり木の柄、木目、継ぎ目を消すにはウレタン塗装が使われ
ます。
このような理由からウレタン塗装はランクが低いと思われがちになりました。しかしポールリードスミス社
のレギュラーのランナップ、完全に自社のものはどれも日本では35万円から上の値段ですがウレタン塗装です。
しかしとてもいいギターが多いです。その秘密はやはり薄さです。なにか独自のアイデアのあるウレタン塗装
なのかもしれませんがそれにしてもいい音です。高いギターでウレタン塗装を標準にしているのは
私の知る限りポールリードスミス社ではないでしょうか。
次回は塗装の薄さなどを書いてみたいと思います。
よろしくお願いします。